夜明け前の物語
一日でいちばん暗く冷える、けれど夜明けにいちばん近い刻。闇の底で待ち、耐え、祈り、光の兆しを見出す十二編。
- 一数える
- 二崩れた斜面
- 三篝火の浜
- 四番号を返す
- 五冷えの底
- 六三時四十分の坂
- 七灯明の夜
- 八空木沢
- 九九十分の夜
- 十澪の道
- 十一夜を編む者
- 十二夜明け前の待合室
目覚めの物語
空が白みはじめる、一日でいちばんやわらかな光の刻。生まれ出る命、長い眠りからの帰還、殻を破る雛――さまざまな目覚めと始まりの十二編。
- 一潮のちょうつがい
- 二露のなかの森
- 三明け方のひとつ
- 四白い呼吸
- 五雷鳥の朝
- 六戻りの刻
- 七明け方の缶コーヒー
- 八露と鉄
- 九終着の露
- 十始発前
- 十一殻を割る朝
- 十二海はなかった
出立の物語
陽が昇り、人も町も動きだす刻。それぞれの持ち場へ発つ――出立と仕事始めの十二編。
- 一七時四十二分の手
- 二舫い
- 三あかえんぴつの音
- 四桜鯛の朝
- 五竈の火
- 六最後の朝の重力
- 七鍵の重さ
- 八手水の音
- 九水を汲む刻
- 十ここで、いっしょに暮らしました
- 十一鶴を折る朝
- 十二見よ、まだ、いる
市井の物語
朝の慌ただしさが一段落し、町がゆるやかに動く刻。銭湯、八百屋、床屋、公園――名もない人々の、小さくかけがえのない十二の一齣。
- 一湯気の柱
- 二大根の白
- 三鋏の言葉
- 四空いた席
- 五水の匂い
- 六砂のあたたかくなるころ
- 七南の窓の白い光
- 八はざまの刻
- 九湯気の相棒
- 十縁側の陽だまり
- 十一飴色の仕事箱
- 十二二種類の音
対決の物語
陽が天の高みにのぼり、影がもっとも短くなる刻。剣も、言葉も、盤上の一手も――対決と選択が頂点を迎える十二編。
- 一白洲
- 二短い影の真下で
- 三白い指
- 四正午の卓
- 五玉子のあんかけ
- 六水の記憶
- 七高窓
- 八燕の刻
- 九真昼の一太刀
- 十影の消える刻
- 十一呼気の残り
- 十二秤の刻
まどろみの物語
陽が傾き、気だるい眠気が世界を包む刻。午睡、白昼夢、ふとよみがえる遠い記憶――時間がやわらかく溶ける十二編。
- 一遠回りの午後
- 二五時間目のまどろみ
- 三星の渡る畳
- 四蝉時雨のあとで
- 五午後の塵
- 六瓶の底のビー玉
- 七二度、跳ね返る光
- 八まどろみの桟橋
- 九縁側の日
- 十昼の柵
- 十一燃え殻の匂い
- 十二水時計の番人
帰路の物語
陽が西へ傾き、影が長く伸びる刻。人も鳥も、それぞれの帰る場所へ――帰路と別れをめぐる十二編。
- 一ラムネの玉の音
- 二金曜日の傾き
- 三定時のチャイム
- 四鈴の音、帰る道
- 五火の見櫓
- 六さがした記憶
- 七渡りの夕暮れ
- 八幟の影
- 九飴の匂いのする夕暮れ
- 十残された左手
- 十一暖簾の重さ
- 十二日を送る渚
逢魔が時の物語
昼と夜が入れ替わる、逢魔が時。輪郭が藍に溶け、人か人ならぬものか見分けがつかなくなる――境界の出会いと変容の十二編。
- 一渡り初め
- 二黄昏の路地、水無月の火
- 三かはたれの汁
- 四継ぎの唄
- 五潮の忘れもの
- 六六人目を数える
- 七各駅停車の逢魔が時
- 八五時十七分の顔
- 九むこうの町
- 十現像
- 十一逢う刻
- 十二たそがれの門番
灯りの物語
家々に灯りがともる刻。あたたかな団欒と、灯りひとつの孤独が、同じ夜に並び立つ――灯りをめぐる十二編。
- 一飴色の灯りの下で
- 二一人分の湯気
- 三一二三の灯
- 四四十七の灯
- 五停電の夜のひとつの炎
- 六送り火のあとで
- 七針の音
- 八夜学の窓
- 九最後の一通
- 十提灯の川
- 十一戸を叩く音
- 十二灯りを配る者
十二夜の物語集
彗星の夜にだけ現れる古書店から借り受けた、ジャンルも時代も異なる十二編。
- 一灯を絶やすな
- 二もう一度だけ灯る提灯
- 三離れの密室
- 四まだ存在しない国の地図
- 五十三番目の周波数
- 六うるう日の恋人
- 七止まった時計と弟子
- 八水底の手袋
- 九月を釣ろうとした狐
- 十訳されたし
- 十一記憶が降る町
- 十二編まれない夢
まなざしの十二夜
同じ一夜・同じ星を、語られなかった側から描く十二の視点。物が、場所が、死者が、けものが、そして「あなた」が見つめる。
- 一待つという字
- 二灯のもとを過ぎるもの
- 三天井の隅から
- 四沖膳
- 五ふたつの匂い
- 六最後の灯がともる夜
- 七星が海をわたるまで
- 八ハルバ断片群註解 ――彗星の夜の復元
- 九灯、あるいは未定義事象の記録
- 十雪夜の証言
- 十一大切な人を見送るための手引き
- 十二記憶のいい人
丑三つ時の物語
この世とあの世の境がいちばん薄れる、草木も眠る刻。怖さの底に情と救いを宿す、怪異と境界の十二編。
- 一木の鳴く家
- 二合わせ鏡の回廊
- 三送りの坂
- 四消灯
- 五三十年の針
- 六送り提灯
- 七枕上の人
- 八渡り場
- 九井戸番
- 十杜の釘音
- 十一内線七番
- 十二岸辺の砂時計