月光書房
月光書房 ・ 寅の刻 ・ 夜明け前

この巻について

寅の刻。一日でいちばん暗く、いちばん冷える、それでいて夜明けにいちばん近い刻である。

この巻の十二編は、最も暗い刻の、救いと希望の物語だ。危篤の枕辺、雪崩を掘る手、帰らぬ船を待つ浜、出所前夜の房、眠れぬ者の部屋、夜明け前の配達、夜通しの祈り、冬山の捜索、軌道上の夜明けの線、橋の上の見知らぬ一言、夜のいちばん深い底、始発を待つ待合室――。

闇がいちばん濃いこの刻に、空ではミラ彗星が、いちばん冴えて、いちばん強く光っている。夜明けは、いつも、いちばん暗いところから、やってくる。

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