月光書房
十二刻(とき)、百四十四の物語

月光書房

げっこうしょぼう

月光書房は、彗星の見える夜にだけ、路地のいちばん奥にあらわれる。けれどその棚に並ぶのは、夜の物語ばかりではない。夜明け前の暗がりから、明け方、朝、真昼、黄昏、宵、そして真夜中まで――一日の十二の刻、それぞれの時刻に読むための物語が、そこにはある。どうぞ、いまの刻から。

二つの夜集
寅の刻 ・ 夜明け前

夜明け前の物語

最も暗い刻・救いと希望

一日でいちばん暗く冷える、けれど夜明けにいちばん近い刻。闇の底で待ち、耐え、祈り、光の兆しを見出す十二編。

  • 一数える
  • 二崩れた斜面
  • 三篝火の浜
  • 四番号を返す
  • 五冷えの底
  • 六三時四十分の坂
  • 七灯明の夜
  • 八空木沢
  • 九九十分の夜
  • 十澪の道
  • 十一夜を編む者
  • 十二夜明け前の待合室
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卯の刻 ・ 明け方

目覚めの物語

目覚めと始まり

空が白みはじめる、一日でいちばんやわらかな光の刻。生まれ出る命、長い眠りからの帰還、殻を破る雛――さまざまな目覚めと始まりの十二編。

  • 一潮のちょうつがい
  • 二露のなかの森
  • 三明け方のひとつ
  • 四白い呼吸
  • 五雷鳥の朝
  • 六戻りの刻
  • 七明け方の缶コーヒー
  • 八露と鉄
  • 九終着の露
  • 十始発前
  • 十一殻を割る朝
  • 十二海はなかった
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辰の刻 ・ 朝

出立の物語

出立・仕事始め

陽が昇り、人も町も動きだす刻。それぞれの持ち場へ発つ――出立と仕事始めの十二編。

  • 一七時四十二分の手
  • 二舫い
  • 三あかえんぴつの音
  • 四桜鯛の朝
  • 五竈の火
  • 六最後の朝の重力
  • 七鍵の重さ
  • 八手水の音
  • 九水を汲む刻
  • 十ここで、いっしょに暮らしました
  • 十一鶴を折る朝
  • 十二見よ、まだ、いる
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巳の刻 ・ 昼前

市井の物語

市井の日常

朝の慌ただしさが一段落し、町がゆるやかに動く刻。銭湯、八百屋、床屋、公園――名もない人々の、小さくかけがえのない十二の一齣。

  • 一湯気の柱
  • 二大根の白
  • 三鋏の言葉
  • 四空いた席
  • 五水の匂い
  • 六砂のあたたかくなるころ
  • 七南の窓の白い光
  • 八はざまの刻
  • 九湯気の相棒
  • 十縁側の陽だまり
  • 十一飴色の仕事箱
  • 十二二種類の音
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午の刻 ・ 真昼

対決の物語

対決・選択の頂点

陽が天の高みにのぼり、影がもっとも短くなる刻。剣も、言葉も、盤上の一手も――対決と選択が頂点を迎える十二編。

  • 一白洲
  • 二短い影の真下で
  • 三白い指
  • 四正午の卓
  • 五玉子のあんかけ
  • 六水の記憶
  • 七高窓
  • 八燕の刻
  • 九真昼の一太刀
  • 十影の消える刻
  • 十一呼気の残り
  • 十二秤の刻
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未の刻 ・ 昼下がり

まどろみの物語

まどろみ・回想

陽が傾き、気だるい眠気が世界を包む刻。午睡、白昼夢、ふとよみがえる遠い記憶――時間がやわらかく溶ける十二編。

  • 一遠回りの午後
  • 二五時間目のまどろみ
  • 三星の渡る畳
  • 四蝉時雨のあとで
  • 五午後の塵
  • 六瓶の底のビー玉
  • 七二度、跳ね返る光
  • 八まどろみの桟橋
  • 九縁側の日
  • 十昼の柵
  • 十一燃え殻の匂い
  • 十二水時計の番人
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申の刻 ・ 夕方

帰路の物語

帰路・別れ

陽が西へ傾き、影が長く伸びる刻。人も鳥も、それぞれの帰る場所へ――帰路と別れをめぐる十二編。

  • 一ラムネの玉の音
  • 二金曜日の傾き
  • 三定時のチャイム
  • 四鈴の音、帰る道
  • 五火の見櫓
  • 六さがした記憶
  • 七渡りの夕暮れ
  • 八幟の影
  • 九飴の匂いのする夕暮れ
  • 十残された左手
  • 十一暖簾の重さ
  • 十二日を送る渚
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酉の刻 ・ 黄昏

逢魔が時の物語

逢魔が時の出会い・変容

昼と夜が入れ替わる、逢魔が時。輪郭が藍に溶け、人か人ならぬものか見分けがつかなくなる――境界の出会いと変容の十二編。

  • 一渡り初め
  • 二黄昏の路地、水無月の火
  • 三かはたれの汁
  • 四継ぎの唄
  • 五潮の忘れもの
  • 六六人目を数える
  • 七各駅停車の逢魔が時
  • 八五時十七分の顔
  • 九むこうの町
  • 十現像
  • 十一逢う刻
  • 十二たそがれの門番
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戌の刻 ・ 宵

灯りの物語

灯りと団欒・孤独

家々に灯りがともる刻。あたたかな団欒と、灯りひとつの孤独が、同じ夜に並び立つ――灯りをめぐる十二編。

  • 一飴色の灯りの下で
  • 二一人分の湯気
  • 三一二三の灯
  • 四四十七の灯
  • 五停電の夜のひとつの炎
  • 六送り火のあとで
  • 七針の音
  • 八夜学の窓
  • 九最後の一通
  • 十提灯の川
  • 十一戸を叩く音
  • 十二灯りを配る者
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亥の刻 ・ 夜

十二夜の物語集

ジャンルの多様

彗星の夜にだけ現れる古書店から借り受けた、ジャンルも時代も異なる十二編。

  • 一灯を絶やすな
  • 二もう一度だけ灯る提灯
  • 三離れの密室
  • 四まだ存在しない国の地図
  • 五十三番目の周波数
  • 六うるう日の恋人
  • 七止まった時計と弟子
  • 八水底の手袋
  • 九月を釣ろうとした狐
  • 十訳されたし
  • 十一記憶が降る町
  • 十二編まれない夢
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子の刻 ・ 真夜中

まなざしの十二夜

語りの視点

同じ一夜・同じ星を、語られなかった側から描く十二の視点。物が、場所が、死者が、けものが、そして「あなた」が見つめる。

  • 一待つという字
  • 二灯のもとを過ぎるもの
  • 三天井の隅から
  • 四沖膳
  • 五ふたつの匂い
  • 六最後の灯がともる夜
  • 七星が海をわたるまで
  • 八ハルバ断片群註解 ――彗星の夜の復元
  • 九灯、あるいは未定義事象の記録
  • 十雪夜の証言
  • 十一大切な人を見送るための手引き
  • 十二記憶のいい人
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丑の刻 ・ 丑三つ時

丑三つ時の物語

怪異・境界

この世とあの世の境がいちばん薄れる、草木も眠る刻。怖さの底に情と救いを宿す、怪異と境界の十二編。

  • 一木の鳴く家
  • 二合わせ鏡の回廊
  • 三送りの坂
  • 四消灯
  • 五三十年の針
  • 六送り提灯
  • 七枕上の人
  • 八渡り場
  • 九井戸番
  • 十杜の釘音
  • 十一内線七番
  • 十二岸辺の砂時計
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