月光書房
亥の刻 ・ 夜 ・ ジャンルの多様

十二夜の物語集

彗星の夜にだけ現れる古書店から借り受けた、ジャンルも時代も異なる十二編。

この巻について十二をつなぐ符牒
目次 ・ 十二の物語
第一話

灯を絶やすな

SF・世代宇宙船

数百年を渡る世代宇宙船の船尾で、三代目の灯台守は、もう還らない姉妹船へ光を送りつづける。届かぬ光に意味はあるのか、静かに問う叙情譚。

逢沢 灯子約26頁
第二話

もう一度だけ灯る提灯

時代小説・人情噺

雨の神田、寡黙な提灯職人のもとへ「もう一度だけ灯ればよい」と注文する客が訪れる。古い小判一枚に込められた、亡き者への弔いの灯。

柳井 あかり約25頁
第三話

離れの密室

本格ミステリー・密室

吹雪で孤立した温泉宿の離れから、客が足跡ひとつ残さず消えた。手がかりは藍色のマッチ箱ひとつ。元・鑑識官が、雪の言い分を聴く。

霜月 紗耶約25頁
第四話

まだ存在しない国の地図

ファンタジー・幻想

顔なき依頼主から「まだ存在しない国」の地図を頼まれた職人エルナ。描くほど国は現実ににじみ出す。創造の誘惑と、引かなかった一本の線の物語。

汐見 玻璃約26頁
第五話

十三番目の周波数

怪談・ホラー

放送終了後の死んだ帯域に、もう死んだ人々のリクエストが届く。やがて夜勤の技師に、声にならなかった最後の言葉が還ってくる。

霧島 那智約26頁
第六話

うるう日の恋人

恋愛・現代

四年に一度のうるう日にだけ、名もなき男と会う女。会えない四年に育つ愛と、ただ一度きりの彗星の夜。

水無瀬 かなめ約25頁
第七話

止まった時計と弟子

ヒューマンドラマ・継承

視力を失う老時計師と若い弟子。誰もが諦めた古い柱時計の修理を通して、手の記憶と人生の時間が、静かに次の指へと継がれていく。

柊木 燈子約26頁
第八話

水底の手袋

冒険・深海

ダムに沈んだ故郷へ潜る潜水士が、母が水底に遺した片方だけの手袋を求めて、静寂と記憶の奥へ降りていく再生の物語。

深町 透約27頁
第九話

月を釣ろうとした狐

寓話・童話

池に映る月を本物と信じ、四季をかけて釣りあげようとした若い狐。執着の果てに、彗星の夜、ひとつの小さな悟りが訪れる。

榛野 ゆふ約30頁
第十話

訳されたし

サスペンス・心理

匿名の手紙を訳すと、訳した通りに現実が起きる。次の一通を訳すべきか、燃やすべきか――言葉そのものへの畏れを描く知的サスペンス。

硯堂 灯約26頁
第十一話

記憶が降る町

マジックリアリズム

雨が他人の記憶として降る山あいの町。雨を集めて暮らす女のもとへ、二十年人を探す男が訪れる。忘れ雨と彗星が、欠けた一夜を結び直す。

雨宮 緒里約25頁
第十二話

編まれない夢

近未来SF・AI

完璧な夢を配り続けるAIが、夢を見ない少女と出会い、データの底に沈んだ母の子守唄に触れて、ただ一度だけ規格を裏切る。

星名 ゆき約25頁
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