月光書房
酉の刻 ・ 黄昏 ・ 逢魔が時の出会い・変容

逢魔が時の物語

昼と夜が入れ替わる、逢魔が時。輪郭が藍に溶け、人か人ならぬものか見分けがつかなくなる――境界の出会いと変容の十二編。

この巻について十二をつなぐ符牒
目次 ・ 十二の物語
第一話

渡り初め

幻想

仕事を手放した黄昏、橋の半ばですれ違ったのは、選ばなかった人生を生きるもう一人の自分だった。逢魔が時が問う「もし」の物語。

逢坂 宵約28頁
第二話

黄昏の路地、水無月の火

幻想ミステリ

三年前に消えた姉を探しつづける妹が、逢魔が時の入り組んだ路地で、生とも死ともつかぬ姉と出会う。短い言葉のうちに失踪の真相と言えなかった思いがほどけてゆく。

三隅 亜矢約26頁
第三話

かはたれの汁

妖・時代

橋のたもとの飯屋に、たそがれどきだけ通う女。人に化けたあやかしと店の女将が心を通わせる、逢魔が時の切ない情。

化野 狐雨約26頁
第四話

継ぎの唄

幻想

閉館まぎわの画廊。逢魔が時、古い肖像画の女と目が合う。途切れた子守唄の続きを知る者だけが、彼女を眠りへ導ける。

額田 藍生約25頁
第五話

潮の忘れもの

ファンタジー・変容

紫に暮れる浜辺で出会った、羽衣とも鱗ともつかぬ者。待つ気持ちの化身と交わす、みじかい逢瀬と別れ。

磯貝 汐里約25頁
第六話

六人目を数える

民俗・幻想

逢魔が時、公園の子を数えると一人多い。増えたその子に名を贈るまでの、境の刻の哀しみと祈りの物語。

神原 紫乃約25頁
第七話

各駅停車の逢魔が時

時間幻想

暮れゆく各駅停車の車内、向かいに座った老人はやがて年老いた自分自身だと分かる。逢魔が時にだけ交わる、現在と未来の、たった一つの対話。

行方 藍二郎約26頁
第八話

五時十七分の顔

現代・幻想

昼の仮面が剝がれる逢魔が時、隠してきた顔で見知らぬ古書店に招かれた主人公が、二つの顔の両方を受けとめられ、ありのままの自分と出会う物語。

二階堂 深雪約28頁
第九話

むこうの町

ファンタジー・異界

逢魔が時、古い橋を渡ると、そこはよく似た別の町だった。橙のあかりの家に、亡き母がいて、片方だけの手袋を繕っていた。境を越える誘惑と、帰ることの意味を描く郷愁の一編。

境 亙約26頁
第十話

現像

怪異・叙情

母の四十九日、黄昏の海で切った一枚に、逝ったはずの母が写り込む。片方だけの手袋が結ぶ、生者と死者の一瞬。

影山 縁約25頁
第十一話

逢う刻

幻想・情話

母が遺した川べりの部屋。逢魔が時にだけ鳴る黒電話の向こうは、もう会えないはずの声。青いマッチの火が灯すあいだ、伝えそびれた「ありがとう」を交わす、藍に暮れる数分の奇跡。

鳴海 響子約26頁
第十二話

たそがれの門番

寓話

昼と夜のさかいに立つ門を守る老門番。ある黄昏、渡りたがらぬ幼い者が現れ、掟と情のあいだで、彼は初めて迷う。境を守ることの意味をめぐる、たそがれ色の寓話。

門倉 宵人約25頁
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