月光書房
午の刻 ・ 真昼 ・ 対決・選択の頂点

対決の物語

陽が天の高みにのぼり、影がもっとも短くなる刻。剣も、言葉も、盤上の一手も――対決と選択が頂点を迎える十二編。

この巻について十二をつなぐ符牒
目次 ・ 十二の物語
第一話

白洲

時代・剣客

正午の河原、十七年の因縁に決着をつける立ち合い。抜き合わせる一瞬、落ちた片方の手甲が、憎しみの真実を裏返す。

剣持 無涯約25頁
第二話

短い影の真下で

リーガル・ドラマ

正午の法廷、判決を前にした最終弁論。片方だけの手袋が握る真実と、一人の運命と、別の家族の未来。弁護士は放てば戻らぬ言葉を組み立てる。

城戸 理沙約26頁
第三話

白い指

スポーツ・青春

真夏の甲子園、決勝の最終回。一点差二死満塁、最後の一球に亡き兄のグラブと三年間が凝縮する。真昼の白い空に、蒼い彗星が一度だけ。

夏堀 灯約26頁
第四話

正午の卓

ビジネス・サスペンス

正午の会議室、買収の署名を前に。八十七人の指と割れないゼロを賭け、経営者は卓をひっくり返す一手を放つ。

財前 恒司約26頁
第五話

玉子のあんかけ

家族ドラマ

父の三回忌、正午の食卓で母と兄妹の二十年の確執が噴き出す。桐箱にしまわれた一枚の絵が、和解でも決裂でもない何かへと三人を運ぶ。

南雲 秋子約34頁
第六話

水の記憶

自然・動物

干上がる水場、影の失せた正午。老いた王ライオンと若き挑戦者が、水と群れと誇りを賭けて対峙する。勝敗の先に受け継がれる、荘厳な生命の掟。

日下 灼約26頁
第七話

高窓

歴史・政治

正午の評定、影の消える一瞬に、若き王は開戦か和睦かを一人で選ぶ。彼を突き放す宰相と、亡き先王の片手袋をめぐる、責任の孤独の物語。

龍崎 静嗣約26頁
第八話

燕の刻

極限・個人心理

跳べなくなった元飛込選手が、真昼の崖の縁で自らと対決する。落ちることは、生きること。飛ぶ一瞬に人生を凝縮する物語。

鷹取 燿約25頁
第九話

真昼の一太刀

時代・武士の倫理

敬愛する師の介錯を命じられた若侍。真昼の白洲で、掟と情が対決する。刀を振り下ろすまでの、永遠のような一瞬を描く時代小説。

介山 青路約26頁
第十話

影の消える刻

知的・盤上

名人戦二日目の正午、七十歳の挑戦者が四十年抱えた一本のマッチを擦り、生涯ただ一度の勝負の一手を盤上に置く。

桐生 燿一約26頁
第十一話

呼気の残り

消防・サスペンス

崩落まで数十秒、運び出せるのは一人。折れた足の老人と押入れの子ども――正午の火のなかで消防士が下した、影のない選択と、消えない問い。

火村 灯司約25頁
第十二話

秤の刻

寓話

影を厭う日時計職人が、正午にだけ現れる者と、己の影を賭けて三番勝負を挑む。勝って、彼が選んだのは。

天道 陽炎約25頁
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