白洲
時代・剣客正午の河原、十七年の因縁に決着をつける立ち合い。抜き合わせる一瞬、落ちた片方の手甲が、憎しみの真実を裏返す。
短い影の真下で
リーガル・ドラマ正午の法廷、判決を前にした最終弁論。片方だけの手袋が握る真実と、一人の運命と、別の家族の未来。弁護士は放てば戻らぬ言葉を組み立てる。
白い指
スポーツ・青春真夏の甲子園、決勝の最終回。一点差二死満塁、最後の一球に亡き兄のグラブと三年間が凝縮する。真昼の白い空に、蒼い彗星が一度だけ。
正午の卓
ビジネス・サスペンス正午の会議室、買収の署名を前に。八十七人の指と割れないゼロを賭け、経営者は卓をひっくり返す一手を放つ。
玉子のあんかけ
家族ドラマ父の三回忌、正午の食卓で母と兄妹の二十年の確執が噴き出す。桐箱にしまわれた一枚の絵が、和解でも決裂でもない何かへと三人を運ぶ。
水の記憶
自然・動物干上がる水場、影の失せた正午。老いた王ライオンと若き挑戦者が、水と群れと誇りを賭けて対峙する。勝敗の先に受け継がれる、荘厳な生命の掟。
高窓
歴史・政治正午の評定、影の消える一瞬に、若き王は開戦か和睦かを一人で選ぶ。彼を突き放す宰相と、亡き先王の片手袋をめぐる、責任の孤独の物語。
燕の刻
極限・個人心理跳べなくなった元飛込選手が、真昼の崖の縁で自らと対決する。落ちることは、生きること。飛ぶ一瞬に人生を凝縮する物語。
真昼の一太刀
時代・武士の倫理敬愛する師の介錯を命じられた若侍。真昼の白洲で、掟と情が対決する。刀を振り下ろすまでの、永遠のような一瞬を描く時代小説。
影の消える刻
知的・盤上名人戦二日目の正午、七十歳の挑戦者が四十年抱えた一本のマッチを擦り、生涯ただ一度の勝負の一手を盤上に置く。
呼気の残り
消防・サスペンス崩落まで数十秒、運び出せるのは一人。折れた足の老人と押入れの子ども――正午の火のなかで消防士が下した、影のない選択と、消えない問い。
秤の刻
寓話影を厭う日時計職人が、正午にだけ現れる者と、己の影を賭けて三番勝負を挑む。勝って、彼が選んだのは。