月光書房 ・ 午の刻 ・ 真昼
この巻について
午の刻。陽が天のいちばん高みにのぼり、影がもっとも短くなる、光と熱の絶頂の刻である。
この巻の十二編は、それぞれの「対決」と「選択」が頂点を迎える一瞬を描く。真昼の河原の果たし合い、法廷の最終弁論、甲子園の最後の一球、買収の卓、三回忌の食卓、干上がる水場のライオン、開戦か和睦かの評定、崖の縁、切腹の介錯、名人戦の一手、炎のなかの二者択一、そして己の影を賭けた勝負――。
影が消えるその刻、人はもう逃げ場を失い、ただ選ぶしかない。白く灼ける空の高みには、真昼でさえ目を凝らせば見えるという蒼いミラ彗星が、じっと、選ぶ者たちを見おろしている。