月光書房
寅の刻 ・ 夜明け前 ・ 最も暗い刻・救いと希望

夜明け前の物語

一日でいちばん暗く冷える、けれど夜明けにいちばん近い刻。闇の底で待ち、耐え、祈り、光の兆しを見出す十二編。

この巻について十二をつなぐ符牒
目次 ・ 十二の物語
第一話

数える

家族・医療

危篤の母の枕辺で、娘は呼吸を数え、子守唄をうたう。夜明け前、空に冴える蒼い星が海をわたるまで。

芦田 千夜約25頁
第二話

崩れた斜面

労働・救助

雪崩に埋もれた集落。凍てつく夜明け前、村人はスコップ一つで掘りつづける。救いと喪失の狭間、空にミラ彗星が冴える。

五十嵐 冬雪約25頁
第三話

篝火の浜

海・情

時化のおさまらぬ夜明け前の浜。帰らぬ船を、妻は篝火を焚いて待ちつづける。闇の底に冴える蒼い星が照らすものとは。

波野 潮里約25頁
第四話

番号を返す

更生・ヒューマン

十七年の刑期を終える最後の夜。差し入れの箱に、片方だけの手袋と、青いマッチ。夜明け前の房で、悔いと祈りのなかに蒼い星が兆す。

石動 冴子約26頁
第五話

冷えの底

現代・心理

四日眠れぬ夜の底。魔の時間に開けたカーテンの向こう、蒼く冴える彗星と、亡き母の子守唄が、私を朝まで繋ぎとめる。

不破 静緒約26頁
第六話

三時四十分の坂

青春・労働

みなが眠る夜明け前、少年は牛乳を配る。かじかむ片手、重い荷。だが坂の上で見た蒼い彗星が、いちばん暗い刻にこそ、いちばん強く光っていた。

朝比奈 駆約26頁
第七話

灯明の夜

宗教・叙情

高熱の娘のため、寺の本堂で夜通し祈る母。言葉にならぬ願いを闇に捧げ、夜明け前の空に冴える蒼い星に、かすかな希望を見出す一夜の物語。

天沼 澄乃約26頁
第八話

空木沢

冒険・救助

吹雪のやんだ夜明け前、凍てつく西面を捜索隊が登る。消えかける望みの先、稜線に一つの蒼い星が灯る。命を捜すことの峻厳と希望。

山家 峰緒約25頁
第九話

九十分の夜

SF

軌道上では九十分ごとに夜明けが来る。青白い夜明けの線を見つめる飛行士が、地に残した娘と、脆く尊い故郷を思う。

天城 遥星約26頁
第十話

澪の道

現代・情

母を喪い、夜明け前の橋に立つ女。犬を連れた老人の一言と一杯の生姜湯が、いちばん暗い刻に、ひとつの命をそっと繋ぎとめる。

橋詰 渚約25頁
第十一話

夜を編む者

寓話

夜のいちばん深い底に棲む者が、眠れぬ人間に問う。このまま夜が明けなければいい、と思ったことはないか、と。闇の誘いと、夜明けを求める心の寓話。

黒住 玄約27頁
第十二話

夜明け前の待合室

現代・群像

始発を待つ夜明け前の待合室。眠る老人、泣きはらした若者、旅立つ者、帰る者。言葉なく、けれど同じ闇と夜明けを待つ、名も知らぬ人々のひそやかな連帯。

相田 静希約27頁
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