月光書房
月光書房 ・ 未の刻 ・ 昼下がり

この巻について

未の刻。陽がわずかに西へ傾き、気だるい眠気が世界をやわらかく包む刻である。

この巻の十二編は、まどろみと回想の物語だ。各駅停車の居眠り、五時間目の白昼夢、認知症の祖母の混じり合う時間、百年の午睡、古いアルバム、終わらない夏、来なかった人を待つ喫茶店、病室の語り、午睡に訪れる死者、老いた象と飼育員、祭りの翌日、時を止める番人――。

昼下がりには、現在と過去の境が溶け、まぶたの裏に、遠い日のミラ彗星がふたたび昇る。眠りと目覚めのあわいで、人はいちばん遠くまで、記憶の海を渡っていく。

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